25年の時を経て、素材の経年変化がより楽しめる『新sakuma-house』が誕生しました。
福島県郡山市の住宅街にひときわ存在感を放つ木製外壁の建築があります。
新sakuma-house
こちらを設計されたのは、施主である株式会社エア・コーポレーション代表取締役の佐久間宏一様。
佐久間様は、福島を拠点に「住み心地のよい家づくり」を追求した個人邸や店舗の設計、施工を手がけ、2001年に福島木造住宅コンクール最優秀賞、2002、2005年に郡山市さわやか建築文化賞等受賞されるなど、永きにわたりご活躍をされています。今回、築25年の自邸“sakuma-house”の大規模リノベーションに挑戦なさいました。
新sakuma-house
1966年アメリカの建築家ロバート ヴェンチューリが主著『建築の多様性と対立』で、ミースの標語”Less is more(少ないことは豊かである)”を“Less is bore(少ないことは退屈だ)”と揶揄し、近代建築のテーゼを覆したことで一大ムーブメントとなったポストモダン建築。三角屋根とアーチを組み合わせた外観のsakuma-houseは、その流れに影響を受けたかのような個性豊かな表情があります。
改修前のsakuma-house
「デザインは斬新で良かったものの、私はまだ若く、暮らしがイメージできずに作ったものだから、実際に住んでみると住み心地は悪かった。」(Replan福島2022『愛着を大切にするリノベーション』より抜粋)とこの家で過ごした時間を語る佐久間様。今回、竣工時に抱いた理想とその建築の中で住み続けたことで生まれた“隔たり”を解消すべくsakuma-houseの改修、更新が始まりました。
Exterior
佐久間様にとって思い入れのある建物の形はレガシーとして残し、その上から高耐久透湿防水シート『ウートップ®サーモファサード』を重ね、『屋久島地杉』のラフボードをファサードラタンにしてご採用いただきました。元々の意匠は継承しつつ、地杉の表情とラフの質感をスノコ状に設えたことで、街路を歩く人の記憶に残る外観へとなっております。
また、今回採用いただいた「ウートップ®サーモファサード」は、木製外壁のデザインの可能性をもっと広げたいという弊社の想いから、製造元であるウルト社との協同で、各種性能試験を行い販売を開始した製品です。
今回のようにクリアランスを設けた外壁は、防水シート部分まで雨風にさらされるため、「水密性試験」、「逆風散水試験」の二つの品質性能試験において台風レベルの過酷な環境でも、高い防水性、防風性が証明された本製品が採用されました。(試験の詳細はこちらから)つまり機能性を担保した上で、独自の木の外観を実現した、現代版sakuma-houseの顔が完成したのです。
Interior
間取りは竣工時のまま受け継ぎ、ご家族が生活する2階を中心にインテリアを改装。白壁と光沢のあるダイニングは天井にウエスタンレッドシダーのパネリングを、床材には屋久島地杉をご採用いただき温かみのある空間へと生まれ変わっています。
新たに増設したテラスは床をリビングルームから20㎝程下げたことで室内からの外への目線を下に誘導し空間の居心地の良さへと繋げています。
またキッチンと水回りは元通りにするよりも現代的な機能加えるべく、新たな設備を導入。構成を整理するために屋久島地杉を用いた収納棚をレイアウトし、使い勝手や動線を向上させています。
今回、sakuma-houseの随所に屋久島地杉をご採用いただいた理由を教えていただきました。
屋久島地杉からは通常の杉にはない『味わい』を感じましたね。根太工法(下地なし)の床材に採用した厚み30㎝の床材も、他の杉では出せない上質さがありました。リビングルームの天井に設えたレッドシダーにも馴染むし、採用して良かったです。(佐久間宏一様)
思い出や愛着を受け継いで、新たな価値観を生んだ今回のリノベーション。
25年の時を経て、素材の経年変化がより楽しめる『新sakuma-house』が誕生しました。
Text:Hieshima
設計・施工
株式会社エア・コーポレーション
sakuma-house 採用商材
屋久島地杉ラフボード16x110
ウートップ サーモファサード2SK
屋久島地杉フロア30x165
レッドシダー木製ベネチアンブラインド
屋久島地杉スムースボード
レッドシダーデッキ材節有
レッドシダーパネリング