風景に馴染み、街から愛される住まい

東に奥羽山脈、西に北上山地がそびえる岩手県北上市。
一級河川の合流地でもある自然豊かなこの街に、『さくら通りの家』という美しい住宅があります。

こちらを手がけられたのは、岩手県を拠点に建築設計を行う〈金ヶ崎建築設計舎〉様です。
代表の菊地建様が大事にされているのは、“時間とともに風景に馴染んでゆく設計”。
“大事に住み続けられる家であること”を基軸に、無垢材が引き立つ、シンプルな意匠デザインを数々設計なされています。

さくら通りの家

今年の3月に完成した、さくら通りの家。同年8月には、良好な景観づくりに貢献する建築へ送られる『第9回(令和3年度)北上市景観賞』を受賞されています。

黒と白のコントラストが美しく、凛とした佇まいが特徴的な外観。建物正面の木製格子から中庭の樹が見えるという、“周りに開かれた空間”であることから、街並みを意識した設計であることが伺えます。道路に面した平屋部分には、防火性能を有する『ウイルウォールT&Gパネル』をご採用いただきました。今回、T&Gパネルをブラック塗装にしたことでより落ち着いた印象となり、当建築の和風モダンな意匠性が高められています。

玄関を抜けると、吹き抜けのある開放的なLDKが広がります。ここを基点に、それぞれの居室、また、中庭へ出ることができ、自然と家族が顔を合わせられるゾーニングとされているのです。

LDKは、アイアン等の無機物と、木の有機物がバランスよく配置された演出がなされています。

キッチンは、リネアタラーラ社のオーダーメイドシリーズ『ノルド・リネアタラーラ』を採用、色はオールブラックで統一しました。天板には、優れた耐久性と美しさを併せ持つ、サイルストーン(天然石英と樹脂を混合加工したインテリア用材)を。棚の面材には、マットな質感と、耐熱性・撥水性を兼ね備えたイタリア・アルパ社の『FENIX』を用いて、シックで高級感のあるスペースを確立されています。

リビングの床材には、密度が高く、丈夫で硬いオークの120巾をご採用いただきました。木目がより映える巾広タイプは、単色でまとまったインテリアに“暖かさ”をプラスします。さらに、2階へと続く階段には、重厚なアッシュの巾ハギを踏み板として設え、無機質なアイアンの手すりやキッチンと調和する様を見事に表現されています。

建物正面の木製格子から見える、中庭の樹木。いつの日か、街のシンボルツリーになるかもしれない。

エクステリアからインテリアまで、
整然とした美しさの中にどこか暖かさを感じられる『さくら通りの家』。

街の風景に馴染む建築は、そこに住まう人だけでなく、周囲の人々からも自然と愛されていくのだと感じました。木製外壁(ウエスタンレッドシダー)の経年変化、そして中庭に植えられた樹木の成長の、素晴らしい移ろいが今後非常に楽しみです。(Yano)

弊社納材商品
ウイルウォールT&Gパネル
アッシュ巾ハギフリーボード
オークフローリング(120巾)オイル塗装
オーダーメイドキッチン(ノルド・リネアタラーラ)

設計
金ヶ崎建築設計舎(HP
岩手県胆沢郡金ケ崎町永沢北清水59-6

施工
千葉建設株式会社(HP
岩手県奥州市水沢字内匠田39